最高裁判決紹介2

建替え中の住宅に住宅用地に対する固定資産税等の課税標準の特例が適用される

平成21(行ヒ)154
固定資産税賦課処分取消請求事件
平成23年03月25日
最高裁判所第二小法廷 判決

裁判要旨
家屋の建替え中のため賦課期日に地方税法(平成18年法律第7号による改正前のもの)349条の3の2第1項所定の居住用家屋が存しない土地に係る当該年度の固定資産税及び都市計画税につき,同条2項1号,地方税法702条の3第2項各所定の住宅用地に対する課税標準の特例の適用があるとされた事例

平成17年度と平成18年度の固定資産税等の賦課決定が問題となりましたが、平成17年度については、固定資産税の賦課期日である平成17年1月1日の土地の現況によると居住用家屋の「敷地の用に供されている土地」に当たるので、住宅用地に対する特例の適用がないとして行われた賦課決定は違法であるとされました。

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⇒判決文

敷引特約は有効

平成21(受)1679
敷金返還等請求事件
平成23年03月24日
最高裁判所第一小法廷 判決 棄却

裁判要旨
1 居住用建物の賃貸借契約に付されたいわゆる敷引特約は,敷引金の額が高額に過ぎるものである場合には,賃料が相場に比して大幅に低額であるなど特段の事情のない限り,消費者契約法10条により無効となる
2 居住用建物の賃貸借契約に付されたいわゆる敷引特約が消費者契約法10条により無効ということはできないとされた事例

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⇒判決文

求償金請求事件(源泉所得税)

平成21(受)747
求償金請求事件
平成23年03月22日
最高裁判所第三小法廷 判決 棄却

裁判要旨
給与等の支払をする者は,その支払を命ずる判決に基づく強制執行によりその回収を受ける場合であっても,所得税法183条1項所定の源泉徴収義務を負う

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⇒判決文

武富士事件(贈与税)

平成20(行ヒ)139
贈与税決定処分取消等請求事件
平成23年02月18日
最高裁判所第二小法廷 判決 破棄自判

裁判要旨
香港に赴任しつつ国内にも相応の日数滞在していた者が,国外財産の贈与を受けた時において,相続税法(平成15年法律第8号による改正前のもの)1条の2第1号所定の贈与税の課税要件である国内(同法の施行地)における住所を有していたとはいえないとされた事例

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⇒判決文

法人税法違反被告事件

平成19(あ)2014
法人税法違反被告事件
平成23年01月26日
最高裁判所第一小法廷 決定 棄却

裁判要旨
1 実質的には経理担当の取締役に相当する権限を与えられ,会社の決算・確定申告の業務等を統括していた者は,法人税法(平成19年法律第6号による改正前のもの)164条1項にいう「その他の従業者」に当たる。

2 法人税ほ脱犯において,行為者が秘匿した所得を自ら領得する意図を有していたとしても,法人税法(平成19年法律第6号による改正前のもの)164条1項にいう「業務に関して」の要件に何ら影響を及ぼさない。

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⇒決定文

この最高裁決定は、法人税法(平成19年改正前)164条1項に関するものです。(現行規定は163条)
第163条 法人の代表者(人格のない社団等の管理人を含む。)又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して第159条第1項(法人税を免れる等の罪)、第160条(確定申告書を提出しない等の罪)又は前条の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対して当該各条の罰金刑を科する。

上記規定の「その他の従業者」に当たるか、「業務に関して」の要件に当てはまるかが争点です。

最高裁は、「Cは、会社の代表取締役から実質的には経理担当の取締役に相当する権限を与えられ、同人の依頼を受けて会社の決算・確定申告の業務等を統括していたので「その他の従業者」に当たる」としました。

また、Cの指示は法人税ほ脱に係るものであり、会社の決算・確定申告の業務等を統括する過程で会社の業務として行われたので、「業務に関して」行われたものであるとしました。

なお、平成23年度税制改正においては、故意の申告書不提出によるほ脱犯の創設が行われて罰則が強化されようとしています。

所得税、法人税、相続税、消費税について下記の条文をご覧下さい。
その他の税についても同様な規定が創設されることになっています。

所得税
18 故意の申告書不提出によるほ脱犯の創設
確定申告書等をその提出期限までに提出しないことにより所得税を免れた者は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科することとする。(所得税法第238条関係)
238条第3項
第1項に規定するもののほか、第120条第1項、第125条第1項(年の中途で死亡した場合の確定所得申告)若しくは第127条第1項(年の中途で出国する場合の確定所得申告)(これらの規定を第166条において準用する場合を含む。)又は第172条第1項の規定による申告書をその提出期限までに提出しないことにより、第120条第1項第3号(第166条において準用する場合を含む。)に規定する所得税の額(第95条の規定により控除をされるべき金額がある場合には、同号の規定による計算を同条の規定を適用しないでした所得税の額)又は第172条第1項第1号若しくは第2項第1号に規定する所得税の額につき所得税を免れた者は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

法人税
11 故意の申告書不提出によるほ脱犯の創設
確定申告書等をその提出期限までに提出しないことにより法人税を免れた者は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科することとする。(法人税法第159条関係)
159条第3項
第1項に規定するもののほか、第74条第1項(第145条第1項において準用する場合を含む。)、第81条の22第1項又は第89条(第145条の5において準用する場合を含む。)の規定による申告書をその提出期限までに提出しないことにより、第74条第1項第2号(第145条第1項において準用する場合を含む。)に規定する法人税の額(第68条(第144条において準用する場合を含む。)又は第69条の規定により控除をされるべき金額がある場合には、同号の規定による計算をこれらの規定を適用しないでした法人税の額)、第81条の22第1項第2号に規定する法人税の額(第81条の14又は第81条の15の規定により控除をされるべき金額がある場合には、同号の規定による計算をこれらの規定を適用しないでした法人税の額)又は第89条第2号(第145条の5において準用する場合を含む。)に規定する法人税の額につき法人税を免れた場合には、法人の代表者、代理人、使用人その他の従業者でその違反行為をした者は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

相続税
14 故意の申告書不提出によるほ脱犯の創設
相続税又は贈与税の申告書をその提出期限までに提出しないことにより相続税又は贈与税を免れた者は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科することとする。(相続税法第68条関係)
第68条第3項
第1項に規定するもののほか、期限内申告書又は第31条第2項の規定による修正申告書をこれらの申告書の提出期限までに提出しないことにより相続税又は贈与税を免れた者は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

消費税
6 罰則の見直し
【1】不正還付の未遂を罰することとする。(消費税法第64条関係)
【2】故意の申告書不提出によるほ脱犯の創設
確定申告書をその提出期限までに提出しないことにより消費税を免れた者は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科することとする。(消費税法第64条関係)
第64条第4項
第1項第1号に規定するもののほか、第45条第1項の規定による申告書をその提出期限までに提出しないことにより消費税を免れた者は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

破産管財人が支払う退職手当等の源泉徴収は不要

平成20(行ツ)236
源泉徴収納付義務不存在確認請求事件
平成23年1月14日
最高裁判所第二小法廷 判決

裁判要旨
1 弁護士である破産管財人は,自らの報酬の支払について,所得税法204条1項2号所定の源泉徴収義務を負う
2 弁護士である破産管財人の報酬に係る源泉所得税の債権は,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)47条2号ただし書にいう「破産財団ニ関シテ生シタル」請求権に当たる
3 破産管財人は,破産債権である所得税法199条所定の退職手当等の債権に対する配当について,同条所定の源泉徴収義務を負わない
(事案の概要)
1 本件は,破産管財人である上告人(弁護士)が,破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの。以下「旧破産法」という。)の下において,破産管財人の報酬の支払をし,破産債権である元従業員らの退職金の債権に対する配当をしたところ,所轄税務署長から,上記支払には所得税法204条1項2号の規定が,上記配当には同法199条の規定がそれぞれ適用されることを前提として,源泉所得税の納税の告知及び不納付加算税の賦課決定を受けたことから,上告人において,主位的に,上告人の被上告人に対する上記源泉所得税及び不納付加算税の納税義務が存在しないことの確認を求めるとともに,予備的に,被上告人の上告人に対する上記源泉所得税及び不納付加算税の債権が財団債権でないことの確認を求めている事案である。

本文は以下から見ることができます。
⇒判決文

上記最高裁判決の下級審は次の通りです。
大阪高裁
⇒判決文
大阪地裁
⇒判決文

課税庁は、当初給与所得として取扱っていたが平成14年2月25日の国税不服審判所の裁決で給与所得とすることになったものである。それ以後は、実務としては事業所得として取扱していましたが、今回の最高裁判決で、事業所得であることが確定しました。
給与所得から事業所得になることによって消費税や事業税に大きな影響があります。

この判決に対応して、国税庁ホームページに、「破産前の雇用関係に基づく給与又は退職手当等の債権に対する配当に係る源泉所得税の還付について(お知らせ)」が掲載されました。
⇒破産前の雇用関係に基づく給与又は退職手当等の債権に対する配当に係る源泉所得税の還付について(お知らせ)

国税不服審判所
裁決事例集 参照
⇒裁決文

また、破産管財人である弁護士は元従業員の退職手当等を支払う際に源泉徴収を行う義務があるかどうかも争われていましたが、
最高裁は「所得税法199条が退職手当等の支払をする者に所得税の源泉徴収義務を課しているのは、退職手当等の支払をする者がこれを受ける者と特に密接な関係にあって、徴税上特別の便宜を有し、能率を挙げ得る点を考慮したものである」とする最高裁昭和37年2月28日大法廷判決を引用したうえ、

「破産管財人と労働者との間に、使用者と労働者との関係に準ずるような特に密接な関係があるということはできない。」とし

「破産管財人は、退職手当等につき「支払をする者」に含まれず、退職手当等の債権に対する配当の際に、退職手当等について所得税を徴収し、これを国に納付する義務を負うものではない」

と判示しました。

なお、税務大学校の税大論叢58号に「破産法における配当等と源泉徴収制度-労働債権の配当と破産管財人の管財人報酬を中心として-」という論文がありますので、興味のある方はご参考にお読み下さい。

⇒税大論叢59号

道路交通法違反、労働基準法違反被告事件

平成22(あ)148
道路交通法違反,労働基準法違反被告事件
平成22年12月20日
最高裁判所第三小法廷 決定 棄却

裁判要旨
労働基準法32条1項(週単位の時間外労働の規制)違反の罪と同条2項(1日単位の時間外労働の規制)違反の罪との罪数関係

(事案の概要)
京都府宇治市の京滋バイパスで3人が死亡したタンクローリーの追突事故で、運転手の過労を見過ごしたとして道路交通法違反などの罪に問われた運送会社社長に対し、京都地裁が懲役1年2月の実刑判決を言い渡し、同社運輸課長には懲役1年、執行猶予3年を言い渡した裁判の上告審について、差し戻しとなり、差し戻し後の上告審が本件である。

本文は以下から見ることができます。
⇒決定文

元になった最高裁判決は次のものです。

平成19(あ)1951
道路交通法違反,労働基準法違反被告事件
平成21年07月16日
最高裁判所第一小法廷 判決 破棄差戻し

判示事項
1 労働基準法36条1項に基づき月単位の時間外労働の協定が締結されている場合における協定時間を超えた時間外労働と同法32条1項違反の罪

2 週単位の時間外労働の規制違反に係る訴因の特定が不十分で,その記載に瑕疵がある場合に,訴因変更と同様の手続を採ってこれを補正しようとした検察官の予備的訴因変更請求について,裁判所の採るべき措置

裁判要旨
1 労働基準法36条1項に基づき月単位の時間外労働の協定が締結されている場合において,協定時間を超えた時間外労働があるときには,原則的な労働時間制の下では,始期から順次1週間について40時間の法定労働時間を超えて労働させた時間を積算し,協定時間に至るまでは協定の効力によって時間外労働の違法性が阻却されるが,これを超えた時点以後は,1週間について40時間を超える時間外労働がある各週につき同法32条1項違反の罪が成立する。
2 週単位の時間外労働の規制違反に係る訴因の特定が不十分で,その記載に瑕疵がある本件のような場合(判文参照),訴因変更と同様の手続を採ってこれを補正しようとした検察官の予備的訴因変更については,適正な訴因となるように措置した上,これを許可すべきである。 (1,2につき意見がある。)

判決文は以下をご参照下さい。
⇒判決文

譲渡担保についての決定

平成22(許)14
債権差押命令に対する執行抗告棄却決定に対する許可抗告事件
平成22年12月02日
最高裁判所第一小法廷 決定 棄却

裁判要旨
構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権の効力は,譲渡担保の目的である集合動産を構成するに至った動産が滅失した場合にその損害をてん補するために譲渡担保権設定者に対して支払われる損害保険金に係る請求権に及ぶ

(事案の概要)
抗告人は、魚の養殖業を営んでいたが養殖施設内の養殖魚が赤潮により死滅したことからZ共済組合に養殖魚の滅失による損害をてん補するために支払われる漁業共済金請求権を取得した。
その養殖魚は、譲渡担保の目的となっていたため、譲渡担保権者が譲渡担保権に基づく物上代位権の行使として、共済金請求権の差押えの申立てをした事案である。
抗告人は、養殖魚の死滅により損害を受け、養殖事業を継続することができなくなり事業を廃止した。
損害を受けた上、漁業共済金も受け取ることが出来なければ抗告人にとっては大打撃である。
はたして抗告人は漁業共済金を受け取ることが出来るのだろうか。

その答は以下の本文でご確認下さい。
⇒決定文

譲渡担保について租税関係では、次のような最高裁判決があります。

平成16(行ヒ)310
債権差押処分取消請求事件
平成19年02月15日
最高裁判所第一小法廷 判決 破棄自判

判示事項
国税の法定納期限等以前に将来発生すべき債権を目的として譲渡担保契約が締結され第三者に対する対抗要件が具備されていた場合における国税徴収法24条6項の適用

裁判要旨
国税の法定納期限等以前に,将来発生すべき債権を目的として,債権譲渡の効果の発生を留保する特段の付款のない譲渡担保契約が締結され,その債権譲渡につき第三者に対する対抗要件が具備されていた場合には,譲渡担保の目的とされた債権が国税の法定納期限等の到来後に発生したとしても,当該債権は国税徴収法24条6項にいう「国税の法定納期限等以前に譲渡担保財産となっている」ものに該当する。

判決文は以下をご参照下さい。
⇒判決文

なお、税務大学校の税大ジャーナル15号に「債権譲渡と国税債権の保全を巡る最近の動向」と題する論文が掲載されていますので、ご参考にして下さい。

⇒税大ジャーナル

自動車を脅し取られた場合でも自動車税の減免は認められない

平成21(行ヒ)52
自動車税減免申請却下処分取消等請求事件
平成22年07月6日
最高裁判所第三小法廷 判決 破棄自判

判示事項
自動車の所有者が脅迫されて当該自動車を他人に引き渡したためにこれを利用し得ないという損害を被ったことが,愛知県県税条例(昭和25年愛知県条例第24号)72条所定の自動車税の減免要件である「天災その他特別の事情」による被害に当たるとはいえないとされた事例

裁判要旨
自動車の所有者が脅迫されて当該自動車を他人に引き渡したためにこれを利用し得ないという損害を被ったことは,当該所有者が,脅迫された結果であるとはいえ,当該他人に対し当該自動車を貸与することを承諾していたという事実関係の下においては,損害の回復のためにできる限りの方策を講じたものの不奏功に終わったという事情があったとしても,愛知県県税条例(昭和25年愛知県条例第24号)72条所定の自動車税の減免要件である「天災その他特別の事情」による被害に当たるとはいえない。

自動車を脅し取られた場合に盗難の場合と同様に自動車税の減免が認められるかどうかが問題となった事例で、原審は盗難の場合にのみ減免を認め、本件のような場合に減免を認めないのは不合理として、減免不許可処分を取り消すべきものとしたが、最高裁は原判決を破棄し被上告人の控訴を棄却する自判をした。

地方税法は減免要件法定主義を採用しており、行政庁が納税者との合意によって租税を免除することは許されない(注)。
また、租税負担は公平でなければならないことから、課税の減免は、法律又は条例に明確な規定がなければならないことになる。

最高裁は、「地方税法162条による自動車税の減免は,天災等により担税力が減少し又は消滅したため,徴収の猶予等の同法の定める他の措置によっても同税の負担を課すことが相当性を欠くと認められるような納税者に対し,地方公共団体の条例において定める要件に適合することを条件として個別的な救済を図るための制度であると解される。この規定を受けて,本件条例72条は,「天災その他特別の事情により被害を受けた者」に対し自動車税を減免することができると規定しているところ,これは,天災等によりその財産につき損害を受けた者に対し,上記と同様の観点から,同税の減免を認める趣旨のものと解される。」とし、

「その財産につき損害を受けた納税者に対する徴収の猶予について定める地方税法15条1項1号は,「震災,風水害,火災その他の災害」及び「盗難」という,いずれも納税者の意思に基づかないことが客観的に明らかな事由によって担税力が減少し又は消滅した場合のみを要件として掲げている。」ことから

「被上告人がその購入した本件自動車を利用し得ないという損害を被ったとしても,それが被上告人の意思に基づかないことが客観的に明らかな事由によって生じたものとはいえず,したがって,これを「天災その他特別の事情」に当たるということはできない。」として控訴を棄却したものです。

本文は以下から見ることができます。
⇒判決文

(参考)
上記の(注)の根拠は「納税義務の成立、内容は、もっぱら法律がこれを定めるものであって、課税庁側と納税者側との間の合意によってよってこれを動かすことはできない(S49.9.2第一小法廷判決)」です。
この判決文は以下をご参照下さい。
⇒判決文

更正処分取消判決の確定により還付金は「相続によって取得した財産」にあたる

平成21(行ヒ)65
相続税更正処分取消請求事件
平成22年10月15日
最高裁判所第二小法廷 判決 棄却
裁判要旨
被相続人が所得税更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分に基づき所得税,過少申告加算税及び延滞税を納付するとともに上記各処分の取消訴訟を提起していたところ,その係属中に被相続人が死亡したため相続人が同訴訟を承継し,上記各処分の取消判決が確定するに至ったときは,上記所得税等に係る過納金の還付請求権は,被相続人の相続財産を構成し,相続税の課税財産となる

この事件は、第一審の大分地裁では納税者勝訴となりましたが、福岡高裁で逆転して納税者が上告していたものです。
上告棄却となったことにより、所得税の還付金等が「相続によって取得した財産」に含まれることになり、納税者は相続税差額の8,230,700円を納付することになります。
租税法第15版(金子宏 著)には492頁に今回の最高裁判決と同旨の記載があります。

本文は以下から見ることができます。
⇒判決文

第一審の大分地裁の判決文本文は以下から見ることができます。
⇒判決文

控訴審の福岡高裁の判決文本文は以下から見ることができます。
⇒判決文

なお、この裁判の元になった大分地裁の所得税更正処分等取消請求事件の判決文本文は以下から見ることができます。
⇒判決文

地裁、高裁の判決文は税理士情報ネットワークシステム(TAINS)に掲載されたものです。
また13.10.2の判決文はTKCのLEX/DBに掲載されたものです。

定額郵便貯金債権は当然分割財産に該当しない

平成21(受)565
遺産確認請求事件
平成22年10月08日
最高裁判所第二小法廷 判決
裁判要旨
共同相続人間において,定額郵便貯金債権が現に被相続人の遺産に属することの確認を求める訴えについては,その帰属に争いがある限り,確認の利益がある

本文は以下から見ることができます。
⇒判決文

この判決は、定額郵便貯金債権が被相続人の遺産に属することの確認を求めるものであったため、上記のような裁判要旨になっていますが、本文の中で定額郵便貯金債権について判示しているところがあります。
「[郵便貯金法]は[定額郵便貯金債権]の分割を許容するものではなく、同債権は、その預金者が死亡したからといって、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはない」

一般の預貯金債権については、次の最高裁判決があるため、当然分割財産とされていますが、定額郵便貯金債権は、これとは別であることを示しています。

昭和29年4月8日最高裁第一小法廷判決
「相続財産中に金銭その他の可分債権あるときは、その債権は法律上当然分割され各共同相続人がその相続分に応じて権利を承継する」

本文は以下から見ることができます。
⇒判決文

市の臨時職員ボーナス支給は条例がないと許されない

平成20(行ヒ)432
損害賠償請求事件
平成22年09月10日
最高裁判所第二小法廷 判決 破棄自判
裁判要旨
1 普通地方公共団体の臨時的任用職員に対する手当の支給が地方自治法204条2項に基づく手当の支給として適法といえるための要件

2 普通地方公共団体の臨時的任用職員に対する期末手当に該当する一時金の支給が,地方自治法204条2項の要件を満たさず,違法とされた事例

3 普通地方公共団体の臨時的任用職員の給与について条例において定められるべき事項

4 普通地方公共団体の臨時的任用職員に対する期末手当に該当する一時金の支給が,職員の給与の額等を条例で定めなければならないとした地方自治法の規定に反し,違法とされた事例

5 普通地方公共団体の臨時的任用職員に対する期末手当に該当する一時金の支給が,地方自治法204条2項の要件を満たさず,かつ,職員の給与の額等を条例で定めなければならないとした同法の規定に反し,違法であるが,市長が補助職員の専決による上記支給を阻止しなかったことに過失があるとはいえないとされた事例

茨木市で臨時職員に対して条例がないままボーナスを支給したのは違法であるとの判示がありました。

ただ、近隣市でも同様に条例がなかったため、当時の市長の過失は認められませんでした。

しかし、最高裁が「職員の給与の額及び支給方法を条例で定めないことは許されない」としたことから、今後は条例によらない支給は出来ないことになります。

「条例において,一定の細則的事項を規則等に委任することは許され ても, 基本的事項を規則等に委任することは許されない」

本文は以下から見ることができます。
⇒判決文

生命保険金について

生命保険金が話題になっている昨今ですが、生命保険金は相続の際にどのように取り扱われるのか。受取人固有の財産であるというのが一般的に説明されることですが、遺産分割の対象になることもあります。その辺りを最高裁判例でご確認下さい。
原則
昭和36(オ)1028
保険金請求
昭和40年2月2日
最高裁判所第三小法廷 判決 棄却
裁判要旨
一 養老保険契約において被保険者死亡の場合の保険金受取人が単に「被保険者死亡の場合はその相続人」と指定されたときは、特段の事情のないかぎり、右契約は、被保険者死亡の時における相続人たるべき者を受取人として特に指定したいわゆる「他人のための保険契約」と解するのが相当である。
二 前項の場合には、当該保険金請求権は、保険契約の効力発生と同時に、右相続人たるべき者の固有財産となり、被保険者の遺産より離脱しているものと解すべきである。

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⇒判決文

例外
平成16(許)11
遺産分割及び寄与分を定める処分審判に対する抗告審の変更決定に対する許可抗告事件
平成16年10月29日
最高裁判所第二小法廷 決定 棄却
裁判要旨
被相続人を保険契約者及び被保険者とし、共同相続人の1人又は一部の者を保険金受取人とする養老保険契約に基づき保険金受取人とされた相続人が取得する死亡保険金請求権は、民法903条1項に規定する遺贈又は贈与に係る財産には当たらないが、保険金の額、この額の遺産の総額に対する比率、保険金受取人である相続人及び他の共同相続人と被相続人との関係、各相続人の生活実態等の諸般の事情を総合考慮して、保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との間に生ずる不公平が民法903条の趣旨に照らし到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情が存する場合には、同条の類推適用により、特別受益に準じて持戻しの対象となる。

本文は以下から見ることができます。
⇒判決文

贈与税決定処分等取消請求事件

平成20(行ヒ)241
贈与税決定処分等取消請求事件
平成22年07月16日
最高裁判所第二小法廷 判決 破棄自判
裁判要旨
社団たる医療法人が社員退社時の出資の払戻し等の対象を当該法人の一部の財産に限定する旨を定款で定めている場合において,贈与税の課税に当たり当該法人の財産全体を基礎として当該出資を評価することに合理性があるとされた事例

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⇒判決文

年金の二重課税が違法とされた話題の判決

平成20(行ヒ)16
所得税更正処分取消請求事件
平成22年07月06日
最高裁判所第三小法廷 判決 破棄自判

裁判要旨
1 相続税法(平成15年法律第8号による改正前のもの)3条1項1号の規定によって相続により取得したものとみなされる生命保険契約の保険金で年金の方法により支払われるもの(年金受給権)のうち有期定期金債権に当たるものにおいて,当該年金受給権に係る年金の各支給額のうち被相続人死亡時の現在価値に相当する金額として相続税法24条1項1号所定の当該年金受給権の評価額に含まれる部分は,相続税の課税対象となる経済的価値と同一のものとして,所得税法(平成22年法律第6号による改正前のもの)9条1項15号の規定により所得税の課税対象とならない

2 所得税法(平成18年法律第10号による改正前のもの)207条所定の生命保険契約等に基づく年金の支払をする者は,当該年金が同法の定める所得として所得税の課税対象となるか否かにかかわらず,その支払の際,その年金について所得税法208条所定の金額を徴収し,これを所得税として国に納付する義務を負う

本文は以下から見ることができます。
⇒判決文

税務大学校のHPの税大ジャーナルに「生命保険をめぐる相続税法および所得税法上の諸問題」という大阪経済大学経営学部准教授辻美枝氏の論文がありますので詳しく研究したい方は是非ご覧下さい。
⇒税大ジャーナル論文

22年10月20日に国税庁HPに以下の通り掲載されました。
相続等に係る生命保険契約等に基づく年金の税務上の取扱いが変更になりました。
⇒相続等に係る生命保険契約等に基づく年金の税務上の取扱いの変更について

居住利益を損害額から控除することはできないとされた事例

平成21(受)1742
損害賠償請求事件
平成22年06月17日
最高裁判所第一小法廷 判決 棄却

裁判要旨
購入した新築建物に構造耐力上の安全性にかかわる重大な瑕疵があり,倒壊の具体的なおそれがあるなど建物自体が社会経済的価値を有しない場合,買主から工事施工者等に対する建て替え費用相当額の損害賠償請求においてその居住利益を損害額から控除することはできない

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固定資産税の評価誤りで国家賠償法により20年間分の過納金を返還

損害賠償請求事件
平成22年06月03日
最高裁判所第一小法廷 判決 破棄差戻し

裁判要旨
違法な固定資産税の賦課決定によって損害を被った納税者は,地方税法432条1項本文に基づく審査の申出及び同法434条1項に基づく取消訴訟等の手続を経るまでもなく,国家賠償請求を行い得る

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⇒判決文

公認会計士が共同正犯

平成19(あ)1462
証券取引法違反被告事件
平成22年05月31日
最高裁判所第一小法廷 決定

裁判要旨
虚偽記載半期報告書提出罪及び虚偽記載有価証券報告書提出罪について,当該会社と会計監査契約を締結していた監査法人に所属する公認会計士に会社代表取締役らとの各共同正犯の成立を認めた原判断が是認された事例

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普通解雇が不当行為にあたらないとされた事例

平成21(オ)1727
損害賠償請求事件
平成22年05月25日
最高裁判所第三小法廷 判決 破棄自判

裁判要旨
1 労働審判に対し適法な異議の申立てがあったため訴訟に移行した場合において,当該労働審判は民訴法23条1項6号にいう「前審の裁判」に当たらない
2 統括事業部長を兼務する取締役の地位にある従業員に対して会社がした普通解雇が,当該従業員に対する不法行為を構成するとはいえないとされた事例

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損害賠償請求事件(平成22年04月20日)

平成20(受)2065
損害賠償請求事件
平成22年04月20日
最高裁判所第三小法廷 判決 破棄差戻し

土地の所有者が市への土地の売却に係る長期譲渡所得につき租税特別措置法(平成13年法律第7号による改正前のもの)33条の4第1項1号所定の特別控除額の特例の適用がある旨の市の職員の誤った教示等に従い所得税の申告をし,過少申告加算税の賦課決定等を受けた場合において,上記所有者に損害の発生がないとした原審の判断に違法があるとされた事例

市へ土地を売却した土地所有者が市の職員の教示に従って所得税の申告をしたが、税務署から更正されて過少申告加算税の賦課決定等を受けたため国家賠償法により市に損害賠償を求めたものです。

裁判要旨
土地の所有者が市への土地の売却に係る長期譲渡所得につき租税特別措置法(平成13年法律第7号による改正前のもの)33条の4第1項1号所定の特別控除額の特例の適用がある旨の市の職員の誤った教示等に従い所得税の申告をし,過少申告加算税の賦課決定等を受けた場合において,上記所有者に損害の発生がないとした原審の判断に違法があるとされた事例

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所得税更正処分等取消請求事件(平成22年04月13日)

平成21(行ヒ)110
所得税更正処分等取消請求事件
平成22年04月13日
最高裁判所第三小法廷 判決 破棄差戻し

土地の所有者が,具体的に建築物を建築する意思を欠き,単に本件特例の適用を受けられるようにするため形式的に都計法55条1項本文の規定による不許可の決定を受けることを企図して建築許可の申請をしたにすぎない場合には,たとい同申請に基づき不許可の決定がされ,外形的には都計法56条1項の規定による土地の買取りの形式が採られていたとしても,これをもって措置法33条1項3号の3所定の「都市計画法第56条第1項の規定に基づいて買い取られ,対価を取得する場合」に当たるということはできない。したがって,上記のような場合,当該所有者は当該対価について本件特例の適用を受けることができない

都市計画法の適用を受けて市へ土地の買取請求をして市により土地の買取りが行われたが、租税特別措置法の長期譲渡所得の特別控除が認められなかったものです。

裁判要旨
都市計画法55条1項所定の事業予定地内の土地の所有者が具体的に建築物を建築する意思を欠いており,都道府県知事等による当該土地の買取りが外形的に同法56条1項の規定による買取りの形式を採ってされたにすぎない場合には,当該所有者は当該買取りの対価につき租税特別措置法(平成16年法律第14号による改正前のもの)33条の4第1項1号所定の長期譲渡所得の特別控除額の特例の適用を受けることができない

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相続と葬儀費用の支払(不法行為)

平成19(受)955
平成20年2月29日
最高裁判所第二小法廷 判決 一部破棄差戻し、一部棄却

裁判要旨
被相続人の生前にその意向を受けて預金が払い戻され、払戻金を葬儀費用に充てることについても被相続人による委任があった場合に、相続人のうち1名が他の相続人の同意を得ずにこれを葬儀費用に支出したとしても、他の相続人に対する不法行為は成立しないとされて、不法行為の成立を認めた原判決が破棄された事例

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通達は法規の性質を持つものではない

当たり前のことを言っているだけのことですが、通達が法律ではないとした最高裁判決をご紹介しておきます。

昭和38年12月24日最高裁判所第三小法廷判決
通達の意義
国税庁長官の基本通達は、下級行政機関の権限の行使についての指揮であって、国民に対し効力を有する法令ではない
通達の内容が事実たる慣習であるとは認められない

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⇒判決文

昭和43年12月24日最高裁第三小法廷判決
通達は、法規の性質をもつものではない

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所得税更正処分取消請求事件(平成22年03月30日)

平成20(行ヒ)419
所得税更正処分取消請求事件
平成22年03月30日
最高裁判所第三小法廷 判決 破棄差戻し

上告人は,県が施行する土地収用法3条1号所定の道路事業の用地としてその所有する本件土地を買い取られ,これに伴い,同県に対して本件土地上に存する物件を移転することを約し,その移転及び損失の補償として同県から本件建物移転補償金等の支払を受けたものであるところ,少なくとも本件居宅については,これをAらに譲渡して本件残地上に曳行移転させることによって,上記の移転義務を果たしたものということができるから,本件建物移転補償金のうちに上記曳行移転の費用に充てた金額がある場合には,当該金額については,所得税法44条の適用を受ける

裁判要旨
道路事業の用地として所有地を買い取られたことに伴い,同土地上に存する所有建物を移転することに対する補償金の支払を受けた個人が,当該建物を他に譲渡して上記土地外に曳行移転させた場合において,上記建物が取り壊されずに現存していることなどから直ちに,上記補償金には租税特別措置法(平成16年法律第14号による改正前のもの)33条1項及び所得税法44条のいずれの適用もなく,その全額を一時所得の金額の計算上総収入金額に算入すべきであるとした原審の判断に違法があるとされた事例

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所得税納税告知処分取消等請求事件(平成22年03月02日)

平成19(行ヒ)105
所得税納税告知処分取消等請求事件
平成22年03月02日
最高裁判所第三小法廷 判決 破棄差戻し

クラブを経営する者がホステスに支払う報酬の額が一定の期間ごとに計算されて支払われている場合には,所得税法施行令322条にいう「当該支払金額の計算期間の日数」は,ホステスの実際の稼働日数ではなく,当該期間に含まれるすべての日数を指す

ホステスの源泉徴収をする際には、実際の出勤日数により控除額の計算をするのではなく、計算期間の日数により計算すべきであるとされたものです。

裁判要旨
ホステスの業務に関する報酬の額が一定の期間ごとに計算されて支払われている場合において,所得税法施行令322条にいう「当該支払金額の計算期間の日数」は,ホステスの実際の稼働日数ではなく,当該期間に含まれるすべての日数を指す

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不当利得返還請求事件

平成21(受)96
不当利得返還請求事件
平成22年01月19日
最高裁判所第三小法廷 判決 破棄自判

本来他人に帰属すべき収入を自己の収入として所得金額を計算したため税額を過大に申告した場合でも、それにより当該他人が過大に申告された分の所得税の納税義務を負うわけではなく、申告をした者が申告に係る所得税額全額について納税義務を負う

共有不動産の賃料収入を共有者の一人が自分の収入として所得税の確定申告をしていたが、他の共同相続人から不当利得返還請求を受けたものです。

裁判要旨
共有者の1人が共有不動産から生ずる賃料を全額自己の収入として不動産所得の金額を計算し,納付すべき所得税の額を過大に申告してこれを納付したとしても,他人のために事務を管理したということはできず,事務管理は成立しない

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所得税更正処分取消等請求事件

平成21(行ヒ)199
所得税更正処分取消等請求事件
平成21年12月04日
最高裁判所第二小法廷 判決 棄却

裁判要旨
いわゆるタックス・ヘイブン対策税制である租税特別措置法(平成14年法律第79号による改正前のもの)40条の4第1項は,「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とシンガポール共和国政府との間の協定」7条1項に違反しない

10月29日の最高裁判決に続いてタックス・ヘイブン対策税制と租税条約についての判決です。
前回は、法人税に関するものでしたが、今回は、所得税についてです。
これで、法人税、所得税ともに揃った訳です。
「タックス・ヘイブン対策税制を設けることは、国家主権の中核に属する課税権の内容に含まれるものと解される」の部分に注目すべきでしょう。
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外国税額控除について最高裁で法人側が勝訴

平成20(行ヒ)43
法人税更正処分取消等請求事件
平成21年12月03日
最高裁判所第一小法廷 判決 その他

裁判要旨
0%超30%以下の範囲で適用税率について税務当局と交渉することができるなどの選択を納税者に許す税制を採っていたチャネル諸島ガーンジーにおいて,承認を受けた26%の税率で法人が納付した所得税が,法人税法69条1項,法人税法施行令141条1項にいう外国法人税に該当しないとはいえないとされた事例

チャネル諸島ガーンジー島に設立された再保険業を営む子会社が特定外国子会社に該当するか、また子会社がガーンジー島で租税として納付したものが外国法人税に該当するか否かが争点になっていたが、最高裁は一審・二審判決を破棄して逆転判決を言い渡したものです。

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⇒判決文

商法違反被告事件

平成18(あ)2057
商法違反被告事件
平成21年11月09日
最高裁判所第三小法廷 決定 棄却

裁判要旨
銀行の代表取締役頭取が,実質倒産状態にある融資先企業グループの各社に対し,客観性を持った再建・整理計画もないまま,実質無担保で赤字補てん資金等を追加融資したことが,特別背任罪における取締役としての任務違背に当たるとされた事例

いわゆる拓銀事件関連ですが、最高裁において初めて「経営判断の原則」の用語が採用されたものです。
本文は、以下から見ることができます。
⇒判決文

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坂 会計事務所は
TKC全国会会員です
TKC全国会
TKC全国会は、租税正義の実現をめざし関与先企業の永続的繁栄に奉仕するわが国最大級の職業会計人集団です。

近畿税理士会所属

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